お知らせ

【監督交代のお知らせ】

【監督交代のお知らせ】

以下ゲキサカより引用
福岡の強豪、東海大福岡高は10日、男子サッカー部の監督を務める大丸忠氏に代わり、13日付けでヘッドコーチの伊藤良太氏が新監督に就任すると発表した。部長に松原崇志氏、ヘッドコーチに中野大地氏が就任することも併せて発表。大丸氏は姉妹校である東海大浦安高(千葉)のサッカー部監督ならび同校の教頭に就任する。

 大丸氏は東海大福岡(旧・東海大五高)のOBで、高校1年生だった1990年度の選手権でベスト4を経験。以降もインターハイ、選手権に出場し、専修大卒業後の1997年から母校へと戻り、チームの礎を築いた平清孝氏(現・岡山学芸館高ゼネラルアドバイザー)の下、コーチを務めた。2009年からは2代目監督に就任。2011年と2012年には2年連続で選手権開幕戦の舞台に立っている。

 東海大福岡を指導して27年。就任当初から拘ってきたのは人間教育だ。「我々は、一教員であり、学校の授業やその他の業務を全うした後に、部活に携わっている。生徒も同じように、一高校生として規律を守り、集中して学習に励んだ後に、部活に取り組んで欲しい」。そう考える大丸氏は、サッカーのプレー同様に学校生活を重視。全教科で一定以上の成績を残さないと練習に参加できない。

 また、月に1度、全部員が参加し推薦記事を読み感想文を共有し合う「木鶏会」と呼ばれる取り組みも行ってきた。違った環境で育った仲間たちが集い、お互いに違いを認め合うことで全員の心を揃えると同時に人間的な成長を促進してきた。

「ボールを繋ぐためには、周囲を巻き込みながらサッカーをやらなければならない。前提として、目の前の問題(学習)から逃げる選手は、ピッチの中でも考えることをやめて単純にボールを蹴ってしまうので、常に勉強する姿勢と人間性の大切さは説いています。20年も、30年後も、将来誰かの役に立ち、困った人がいたら助けられる人になって欲しい」(大丸監督)。

 現在、YSCC横浜でプレーするMF冨士田康人(ひびきSS U-15出身)はそうした指導によって才能が育まれた好例と言えるだろう。入学時はプロになれるような選手ではなかったが、東海大福岡で選手として基礎を身に付けた結果、進学先の日体大で才能が開花。Jリーグの舞台でも1年目からチームに欠かせない選手として活躍した。

 自陣からのポゼッションスタイルにより力を入れている近年は、県内外の中学生・指導者からの人気が高まっており、年々実力者は増えている。「これからもっと良い選手も入ってくるので、よりうちのサッカーを表現して結果が出せる時期に来たかなと思っていた。新たな新国立競技場に行こうと言っていて、実現は近いと思っていたので今回の異動はまさに青天の霹靂だった」と大丸氏は口にする。ただ、後任の伊藤氏はヘッドコーチとして長年チームに携わってきたため、スタイルは今後も大きく変わらない。東海大福岡のサッカーに新たなエッセンスを加え、全国大会への返り咲きを狙っている。

 大丸氏が新たに就任する東海大浦安は東海大の系列の中でも御三家と呼ばれるほどの進学校だ。サッカー部は大丸氏と同級生の吉田達磨氏(現・徳島ヴォルティス監督)がかつて在籍。1996年度に記録した選手権予選での準優勝が最高成績だという。

 サッカー部専用の人工芝グラウンドがある東海大福岡とは違い、東海大浦安はグラウンドを各運動部が共有して活動している。強化は決して楽ではないが、大丸氏の指導にかける熱はこれまでと変わらない。「今までと同じように指導していきたい。ボールの移動中にみんなでイメージを共有していきたい。細かい部分を積み重ねながら、能力以上の力を出し、ゴール前でストロングを出して行くサッカーが理想」と口にする。

 3代目監督となる伊藤新監督の下、東海大福岡がどんな歴史を刻むのか、新体制となる東海大浦安が激戦区・千葉の戦力図を塗り替えることができるのか。高校サッカーファンから注目を集めそうだ。

(取材・文 森田将義)